【書評】クリティカルチェーン – プロジェクトマネージャー必読の一冊。古典と思って侮るなかれ
プロジェクトマネジメントやWebディレクションに関わっている人であれば、表紙くらいは見たことがあるのではないでしょうか。
プロジェクトが遅れる原因とそれに対するソリューションを小説仕立てにした、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラッド氏の名著です。
▼クリティカルチェーン/なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか▼
2003年に出版された本で10年以上立っているので、もはや古典と思っている人も多いのではないかと思いますが、いま読んでもたくさんのヒントが得られます。
なかなか分厚いので読破するのに少し時間を要しますが、まだ読んでない方は是非。
そして一度読んだ方も、新たな気づきがあるかもしれませんので再読してみてはいかがでしょうか。
僕もこの週末に久々に再読してみて、改めて良著だなぁと思ったので簡単にまとめてみます。
こんなキーワードにピンとくる人にオススメ
- 炎上プロジェクト
- プロジェクトメンバーの最適なアサイン
- リソースの最適化
- PERTやガントチャート
- TOC(theory of constraints / 制約理論)
- クリティカルパスとクリティカルチェーン
- CCPM
プロジェクトスケジュールを最短にするクリティカルチェーン
もともと非現実的なスケジュールを会社側に押し付けられたり、あまり信頼できない発注先でもコスト優先で決定せざるをえなかったりした経験は誰しもあると思います。
そういった要因から予算がオーバーし、スケジュールが遅延し、計画の縮小を余儀なくされる事態が頻発するという問題提起から物語は始まります。
そんな炎上を誰もが経験し、見積もりには一定のセーフティー(バッファ)が多く含めているはずなのにプロジェクトの炎上がなくならないのは何故でしょうか?
(各人の見積もりにセーフティーが含まれているという文脈で) このプロジェクトのリーダーは、各人に見積もりを立てるように指示します。 集まった見積もり時間をリーダーは全部合計します。 ただし、それだけではないんです。 その合計にリーダーも自分のセーフティーを足してしまうんです。 (中略) マネジメントが、何段階か関わっている場合もあります。 その場合も各段階ごとにセーフティーが追加されます。
それぞれのステップで作業が速く終わったり、逆に遅く終わっても、これが平均化されることはない。 つまり、作業が遅れた場合は時間が溜まっていくが、早く終わってもその分時間が減ることはない。 たくさん用意されているはずのセーフティーが消えてしまうのは、これで説明がつく
その答えは「バッファ・マネジメント」だというのがこの本の主張です。
そして、バッファ・マネジメントの方法として物語の中に出てくるものこそ「クリティカルチェーン」なんです。
書籍内には(たぶん)出でこない用語ですが、このプロジェクトマネジメント手法は一般にCCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)と略して呼ばれています。
CCPMは単なる数学的な理論ではなく、プロジェクトメンバーの心理的側面も十分に考慮されていて、実務に適用しやすい考え方になっています。
クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)については、こちらの記事で簡単にまとめていますので、よろしければご参照ください。
ほんっっとーに概要だけを簡単にまとめたので、一度は本を手にとってみることをオススメします。
ちなみに、物語の中ではちょっとしたロマンスもありますよ( ̄▽ ̄)V
プロジェクトマネジメントはアートではありません。
プロジェクトの不確実性をプロマネのセンスで乗り越えるような職人芸的なマネジメントでは、次第にプロダクトの競争力を失ってしまいます。
アートではなくサイエンスとしてのプロジェクト管理手法を学んで、より確実でスピード感のあるプロジェクトどんどん生み出していきたいですね♪
▼プロジェクトマネジメントに悩むあなたにこちらの記事もオススメです▼