ディレクション誰やるの?ディレクション責任が不明確なプロジェクトが200%炎上する理由と対策
フリーランスで10年ほど経験を積まれているベテランデザイナーのSさんからこんなご質問をいただきましたので、解決策を提案してみます。
僕にくる案件の中で、先方がディレクションをやると言うので、デザインとコーディングだけの見積もりで受注して進めると、先方が全然ディレクションしてくれなくて、結局ディレクションもこちらでやるハメになることがよくあります。本来ディレクション費用をいただいてリソースをあらかじめ確保しておかなければ対応できないのですが、状況的にやらざるを得ず、リソースはパンクして費用も回収できないというプチ炎上状態になってしまいます。このようなことが起きないようにしたいのですがどうすればいいでしょうか?
ディレクションって何?の認識が合っていないことが問題
Sさんのおっしゃっていることは現場あるあるですよね。
こうしたプチ炎上プロジェクトは日本中で発生しているのではないでしょうか。
こういったことが起こってしまう原因として考えられるのは、「ディレクション」という一言に含まれる具体的な内容が、依頼者と作業者で共通認識がなかったということです。
Sさんは「ディレクションやるって言ったのに何でやってくれないんだよ」と思っているはずです。
しかし一方で依頼者側は、「何でもかんでもディレクションって一括りにされても困るわ」と思っていた可能性があります。
この食い違いから工数見積が破綻して、炎上プロジェクトと化してしまったのです。
こういったことを防ぐためには、見積もりの時点でディレクションの内訳を説明し、作業分担を事前に確認するのが効果的です。
ディレクションって改めて言われてもな…という方のために、見過ごしがちなところまでフォローしたチェックリストをまとめましたので、是非ご活用ください。
※今後のさらに役に立つ情報提供のために、簡単なアンケートにご協力いただけますと幸いです。なお以前アンケートにお答えいただいた方は、直接メールいただければお送りします。
重要なのは「やること」の内訳よりも、「やらないこと」の内訳
つい先日、LIGさんの記事で「そうそう!」とFacebookやTwitter上で話題になっていたのがこの記事。
この記事では、制作業務に関する具体的な作業内容を依頼者と合意することの重要性が書かれています。
確かにその通りで、特にコスト的な納得感を生む意味で、作業内容の内訳はとても大切です。
ただ、上記の記事では書かれていないもうひとつ重要な観点があります。
それは「やらないこと」の内訳を明確にして合意を得るということです。
プロジェクトマネジメントの実務標準であるPMBOKでも、第5章のスコープ定義で「除外事項」を明確にすることが求められています。
▼スコープ定義のアウトプット▼
「プロジェクトからの除外事項」
プロジェクトから除外する内容を幅広く特定します。プロジェクトのスコープ外である事項を明示的に記述しておくことは、プロジェクト上のトラブルを未然に防ぐ意味でも非常に重要です。
ビジネスプロフェッショナルとしての基本的なスタンスとして「やるといったことはすべてやる」では依頼者の期待に十分に応えることはできません。
より踏み込んで「やらないと言ったこと以外はすべてやる」というスタンスでプロジェクトに臨むことが、プロジェクト成功の秘訣です。
見積書の備考に記載したり、メールで覚書をやりとりしたりして形に残す形でプロジェクトを進めれば安心です。