ガントチャート通りに進行できない人の8割は、タスクの依存関係がわかってない
こんにちは、編集部のジェシカです。
今回はタスクの依存関係について詳しくご紹介します。
依存関係というワード、私は耳慣れなかったのですが、WBSやスケジュールを作成している人は、自然に意識されている事項だと思います。
もし、「WBSもスケジュールもきちんと引いているのに、毎回進行がうまくいかないんですけど….」という人がいるなら、依存関係を考慮できていない可能性が高そうです。
タスクの依存関係とは?
プロジェクトを進行するための各タスクには、「Aが終了しないとBの作業が開始できない」「Cが開始されないと、Dも開始できない」といった関係でつながっています。
このつながりを「依存関係」と呼びます。 依存関係を正確に把握していないと、正しいスケジュールが組めません。
依存関係を意識せずに、各タスクの見込み工期だけからスケジュールを引くと、「なんとかなりそう」なガントチャートができあがってしまいます。
この「なんとかなりそうガントチャート」が炎上の火種です。
現実的なスケジュールを作成するために、次の4つの依存関係を正確に把握しましょう。
依存関係の4パターン
依存関係には4つのパターンがあります。
これまで意識していなかった人は、自分の考えと合っているか確認してみてください。
■終了―開始型(FS型:Finish to Start)
先行するタスクが終了した後に、実施タスクが開始できるという型で、最も一般的な関係性です。
実施するタスクは先行するタスクにスケジュールを握られている状態なので、先行タスクのボールをクライアントや他社が持っている場合、しつこく催促することが難しく、実施するタスクに影響が出てしまうこともあります。
■開始―開始型(SS型:Start to Start)
先行するタスクが開始すると、後続の実施タスクを開始できるという関係性です。
例えば、印刷物の場合、紙が納入され始めたら印刷を開始していくといった関係性がこれにあたります。
同時にタスクが進行するので、タスク担当者間できちんと状況共有をしておく必要があります。
■終了―終了型(FF型:Finish to Finish)
先行タスクが終わる時には、実施タスクも終了していなければいけない関係性です。
例えば、1ヶ月間無料のツールを試す時など、お試し期間が終わるまでにツールの検証を終わらせなければいけない状態のことです。
このケースでは、終了日が決まっているので実施タスクを延長することができません。
事前準備をしっかり行い、余裕を持ったスケジュールで進行できるようにしておく必要があります。
■開始―終了型(SF型:Start to Finish)
先行タスクが始まるまでに、実施タスクが終了していなければいけない関係性です。
あるイベントの日時が決まっており、それに対して準備を行うようなタスクに適用されることが一般的です。
例えば、クライアントとの月次定例会議という未来のタスクに向け、データ分析や報告資料の作成を終えてサイト動向や改善提案を報告できる状態にしておくことが、この開始―終了型(SF型)に当てはまります。
決して日を延長することができないので、前日に深夜残業が発生しないよう、事前にスケジュールを組んでおくことが大切です。
正しい依存関係に基づいたガントチャートは、クリティカルパスが正確に把握できる
全タスクの最初から最後までを依存関係によって結びつけた時に所要時間が最も長くなる経路をクリティカルパスと呼びます。
クリティカルパスはWBSの中の最も重要な経路なので、この経路に問題が発生すると、プロジェクトの全体の遅延が発生するなど、致命的問題に発展する可能性が高くなります。
クリティカルパスを見誤らないよう、各タスクの依存関係を意識し、正確に結び付けられるようになることが大切です。
依存関係の配置ミスだけでなく、タスク漏れにも注意
WBSやガントチャートを作成する際に、依存関係の順番を間違えないということは絶対ですが、そもそもタスクが漏れていたという場合は取り返しのつかないミスにつながることがあります。
1人ではなく必ず数人でタスクを洗い出し、漏れを防ぐようにしましょう。
この時、依頼者の都合や希望スケジュールは考慮して、それにおさまるように自然に頭が働いてしまう優しい方が多いのですが、炎上に陥る典型パターンなので絶対にやめてください。
まずは依頼者の都合は無視して、最大限のタスクを洗い出しましょう。
洗い出したタスクを、依存関係を考慮しながらガントチャートに落とせば、正確なクリティカルパスが把握でき、スムーズなプロジェクトができるようになります。
WBSの作り方や注意点はこちらでも詳しく紹介しているので、参考にしてください。
◆さいごに
依存関係が明確になっていれば、クライアントや上司に理路整然としたスケジュールの説明ができるので、先方も無理な要望を言いづらくなるでしょう。
プロジェクトメンバーの幸せのためにも、依存関係には十分注意してください。
▼スケジュールを作る時に参考になるコラムはこちら▼