コミュ障は治る!コミュ障プロマネのためのアサーティブ・コミュニケーションって?
高圧的な上司、無茶を言うクライアント、適当な同僚、言い訳を繰り返す部下、そんな人たちとのコミュニケーションに課題を感じていませんか?
そういった人たちとのコミュニケーションが苦手な人は、よくこんなことを言います。
「私、コミュ障だから・・・」
断言します、コミュ障は治ります。
聴覚器官や発声器官に障害をもっていたり、精神障害や発達障害だったりする方には僕は適切な克服法を(治療法?)を知りませんが、そうでない限りコミュ障はトレーニングで治ります。
なぜなら、コミュニケーションはスキルだからです。
スキルである限り、先天的にセンスをもっていなくても、後天的に身に付けられるということです。
自分の意見を率直に伝えるための「アサーティブ・トレーニング」とは?
自分も相手も尊重しながら、意見を率直に伝えて物事を前進させるためのコミュニケーションの方法論として、「アサーティブネス」という考え方があります。
アサーティブネスを身に付けるためのトレーニングが、アサーティブ・トレーニングです。
アサーティブネスを身に付けることで、相手の立場や態度に関わらず、自分の意見を表現できるようになります。
自己主張は怖いかもしれないけど、悪いことではない
アサーティブ・トレーニングの第一歩は、NOと言ったり、反対意見を言ったりするのは、自分にとっても相手にとってもよいことなのだと理解することです。
自分の意見を主張するということは、その意見を否定されたり、それによって嫌われたりする可能性があるように思えます。
しかし、そういったことが起きるのは、自己主張に対する反対意見を恐れて、必要以上に攻撃的な言い方をしてしまい、相手の気分を害してしまうのが原因です。
まず自己主張は良いことなのだと頭で理解してみましょう。
そうすることで、相手の立場も考えながら冷静に自己主張ができるようになります。
アサーティブネスの起源ともいえるアン・ディクソン氏が著書の中で、「自己主張の権利」を唱えていますので見てみましょう。(ちょっと意訳)
優先順位は、自分で自分のために決めていい
I have the right to state my own needs and set my own priorities as a person independent of any role that I may assume in my life.
相手がだれであっても、対等な人間として、敬意をもってあつかわれるべきだ
I have the right to be treated with respect as an intelligent, capable and equal human being.
自分の感情は素直に表現していい
I have the right to express my feelings.
自分の意見と価値観も素直に表現していい
I have the right to express my opinions and values.
「ノー」を言うのに罪悪感を抱く必要はない
I have the right to say yes or no for myself.
間違えたり失敗したりしてもいい
I have the right to make mistakes.
間違えたり、より良い考えを思いついたりしたら、言ったことを変えてもいい
I have the right to change my mind.
すべてを理解しなくてもいい
I have the right to say I don’t understand.
欲しいものは欲しいと言っていい
I have the right to ask for what I want.
人の責任まですべて負う必要はない
I have the right to decline responsibility for other people’s problems.
誰とどう接するかは、誰かの評価を気にせず自分で決めていい
I have the right to deal with others without being dependent on them for approval.
いかがでしょうか? 自己主張をすることに、少し前向きになってきましたか?
事実、感情、要求を分ける
自己主張は良いことだと頭で理解できたら、次は具体的なテクニックを習得しましょう。
アサーティブなコミュニケーションを行うポイントは、事実、感情、要求の3つを客観的に認識して、それぞれを別なものとして相手に伝えることです。
- 事実:いまどんな状況なのか
- 感情:自分はどう感じているのか
- 要求:相手は何を求めているのか、自分は何を求めているのか、双方にとって最も望ましい結果は何なのか
アサーティブなコミュニケーションができないのは、この3つのいずれかを自分でもよくわかっていなかったり、あるいは混同して認識してしまっていたりすることが原因です。
<ケーススタディ>
「OK!」と言われて進めてきた仕様なのに、テスト工程になって「それじゃだめだから、こういう風に直してください」という仕様変更が入った
- 事実:現状の仕様には問題がある
- 感情:OKと言ったものを土壇場で覆そうとすることにいら立っている/メンバーに残業はさせたくない。
- 相手の要求:仕様を変更してほしい
- 自分の要求:変更するなら、スケジュールと費用の調整がしたい/手戻りはメンバーのモチベーションを下げるのでなくしたい
事実・感情・要求を分解できていない場合のコミュニケーション例
OKと言ったじゃないですか!
今さら変更は無理ですよ!
(苛立ちの感情が先行して攻撃的になり、要求を冷静に伝えられていない)
事実・感情・要求を分解できている場合のコミュニケーション例
(事実)この仕様だと問題があるのですね。先日確認させていただいた際にOKとのことでしたので、すでにその仕様で実装が進んでしまっています。
(感情)この段階での修正は困難で、困ってしまいましたね。
(要求1)この仕様では問題があることはわかりましたが、変更するには費用とスケジュールの調整が必要ですので、ご調整いただくことは可能でしょうか?
(要求2)お互いにデメリットが大きいので、なるべく手戻りが起こらないように今後の開発プロセスを見直したいですね。
理解してくれない相手に対するブロークン・レコードという方法
冷静に自分の意見を伝えても、相手がすぐに理解してくれるとは限りません。
そんなときに、再び自分が攻撃的になってしまい、「だから無理だと言っているじゃないですか!」と言ってしまえばせっかくのアサーティブ・コミュニケーションがフリダシに戻ってしまいます。
そんなときに知っておきたいのがブロークン・レコードと呼ばれる方法で、壊れたレコードのように同じメッセージを伝え続けることを言います。
この方法を知っていれば、いら立って攻撃的になってしまったり、妥協して安請け合いしてしまったりしまったりすることもなくせます。
前述のケースで、アサーティブにコミュニケーションをとっても、相手が「費用もスケジュールもどうにもならないんです、でもこの仕様ではダメなんです」と返してくることも容易に想定されます。
でも大丈夫、あなたはすでに事実、感情、要求を客観的に理解しています。
いら立ちの感情は切り離して、もう一度壊れたレコードのように同じ言葉を繰り返しましょう。
「しかし、変更するには費用とスケジュールの調整が必要なのですが、どうにかならないでしょうか?」
ロールプレイングで、アサーティブネスを手に入れよう
このようなアサーティブなコミュニケーションは、アサーティブネスに関する知識を学んだからといってできるようになるものではありません。
長年かけて身に付けた言い方や態度を変えるのはとても難しいので、普段からのトレーニングが必要です。
トレーニングとして最適なのがロールプレイングです。
会社の同僚などと一緒に、色々なシーンを想定して依頼者と作業者になりきって、実際にコミュニケーションをとってみましょう。
その場で臨機応変に事実、感情、要求を切り離して考えるのは困難ですが、あらかじめ色々なシーンを想定しておくことで、いざその場面がきたときに焦らず対応ができるようになるはずです。
また、自己表現のバリエーションも増やせるので、より伝わりやすい表現でコミュニケーションをとれるようになることも期待できます。
さらにロールプレイングでは、ロールによって相手の立場を疑似体験することができるのもポイントです。
アサーティブコミュニケーションは、自分を尊重すると同時に、相手も尊重しなければうまくいきません。
相手のロールでコミュニケーションをとってみることで、これまで以上に相手の視点で物事を捉えられるようになります。
「相手の立場」に関して、この記事もとても参考になりました。
相手の気持ちが分からない人は 「自分が相手の立場ならどう思うだろうか?」 と考えます。 しかし、本来は 「相手が相手の立場ならどう思うだろうか?」 と考えるべきです。 相手の気持ちが分からない人は常に主語が『自分』なのです。
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