coach4pm-プロジェクト管理をコーチングで支援-

Web業界で戦うプロジェクトマネージャーやディレクターのためのノウハウ

炎上プロジェクトに光を! coach4pm 誕生秘話インタビュー

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Web業界でプロジェクトマネジメントやディレクションに関わる方々に対し、

コーチングを通じてプロジェクトマネジメントの実務能力を高めていこうという

異色のプロジェクト「coach4pm(コーチフォーピーエム)」。

「Web業界から不幸なプロジェクトをなくしたい」という理念の出発点は何なのか、

どうしてプロジェクトマネジメントにコーチングが有効なのか。

事業立ち上げにかける想いを千歳、倉田の両氏に伺った。

 

プロフィール

■千歳紘史

株式会社理想ラボ 代表取締役

プロジェクトマネージャー/Webディレクター

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1984年 山形県生まれ。大手Webインテグレーターで開発プロジェクトのディレクター職を経験。その後、日本最大級の不動産ポータルサイトHOME'Sを運営する株式会社ネクストにて、大規模ウェブサービスの企画・開発・運用に携わった後に独立。

企業のWeb活用に関するコンサルティングやプロジェクトマネジメント支援を行っている。

 

■倉田隆弘

株式会社理想ラボ 取締役

(一財)生涯学習開発財団認定プロフェショナルコーチ

国際コーチ連盟日本支部(ICFジャパン)理事

シックスシグマ・マスターブラックベルト

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1958年 三重県生まれ。ソニー株式会社にてエンジニア、プロジェクトマネージャーとして経験を積んだのち、同社の社内コンサルタントとして300を超えるプロジェクトのマネジメントを支援。早期退職後、プロジェクトマネジメントに関するコンサルティングを行いながら、プロコーチとしてプロジェクトマネージャーの支援を行っている。

 

炎上の多いWeb業界に、建設業や製造業などのプロジェクトマネジメントの技術が活用できないかと考えた

 

――なぜコーチングを受けようと思ったんですか?

千歳:Web業界っていまだに炎上案件とか多いんですよね。僕自身も10年ほど業界に関わってきて、何度もそういったプロジェクトを経験しています。そんな経験を踏まえて思うのは、この業界、真面目にプロジェクトのマネジメント手法を勉強してる人って意外と少なくて、経験こそが命と思ってる人が多いなーってことです。いわゆるKKD(勘、経験、度胸)ってやつです。もう少しちゃんと、理論的な物事をみんな勉強したほうがプロジェクトってうまくいくんじゃないかなって。

 

――たしかにプロジェクトマネジメントの技術や理論を体系的に学んでいるWebディレクターやプロジェクトマネージャーは稀に感じます。 

千歳:みんな勉強していないわけじゃないんですけど、Web業界の中の新しい情報を収集することに必死になってる気がするんです。でもプロジェクトの炎上とかデスマーチとかっていうのは別にWeb業界に限った話じゃないんだから、もっと歴史の長い異業種で培われてきたテクニックを学んだほうがいいと思ったんですよ。建設業とか、製造業とか。そう思ってた時期に、ソニーという日本の製造業のリーディングカンパニーで、開発プロジェクトのマネジメントを長年やってきた倉田と出会った。そのころ倉田はソニーを早期退職してコーチとしての道を歩み始めていたので、とりあえず倉田のコーチングを興味本位で受けてみたのがきっかけです。当時はコーチングって何それ?っていう感じでしたが、とりあえず異業種のプロジェクトマネジメントの第一人者と話せば何かしら得られるものがあるだろうと思って受けてみました。

 

――はじめからコーチングに答えがあるとは思ってなかったんですね。

千歳:はい、偶然の出会いってやつですね(笑)。

 

求めていたのは教科書的な知識だけでは到達できない領域だった

 

――実際にコーチングを受けてみてどう感じましたか? 

千歳:「うん、これだ」という感触がありました。僕も後から知ったんですが、コーチングというのはコンサルティングとは違って、具体的な何かを教えてくれるわけではないんです。だから倉田は、僕にプロジェクトマネジメントのことについての具体的なことは何も教えてくれなかった。でも、逆にそれがよかったんです。具体的な方法論は書籍やWebやセミナーで十分得られる。でも、結局僕が求めていたのはそういった教科書的な知識では到達できない領域だということに気づいたんです。

 

――教科書的な知識だけでは実現できないことがあるんですね。 

千歳:そうなんです。知識をinputするのは時間さえあればできるんですが、問題はそれをどうやって現場に活用するかってことだった。新しい何かを現場に導入するのは、「自分の今までのやり方を変える」という意味でも「多数のメンバーを動かす」という意味でも一筋縄ではいかない。だから、使われない知識が脳みそにたまっていくだけで何も変わらないという状況が生まれるんです。そうして使わなくなった知識は、もう引き出しの奥にしまわれてずっと出てこないので、「あんな本を読んだなー」という思い出だけが貯まっていく笑

そこにプロコーチという第三者の視点が加わると、自分が持っているどんな知識を活用すれば、あるいは何を自分に補えば現状を打破できるのか、そのためにはどんなハードルを乗り越えなければいけないのかがびっくりするくらいクリアになるんです。やるべきことと乗り越えなければいけないハードルさえ明確になれば、あとは着実にそのハードルを乗り越えていけばいいだけですから、問題解決のスピードが上がります。

しかもそれを1週間~2週間に1回の頻度で継続的に見直していくので、確実に目標達成までのスピードが上がります。

 

――具体的にはどんな変化があったんですか? 

千歳:例えば、当時僕がリーダーとして担当していたある大規模ウェブサービスの改善プロジェクトがありました。ABテストを何度もやって仮説⇒実装⇒検証を繰り返していたのですがなかなか成果が出ない。だから僕は仮説の精度をあげるために、アイデア出しミーティングをメンバーと何度もやって、たくさんのアイデアの中から「これはうまくいきそうだ!」というアイデアを探そうとしていた。

でも、コーチとの対話の中で気づいたのは、今までと同じやり方でアイデアの量を増やしても、成果の出ないアイデアが量産されるだけだということ。だから僕は、「検証」の指標設計を見直して、その指標をベースにして再度アイデア出しを行うことにした。いま使っている指標が、本当に最終コンバージョンとの相関関係が高いのかを見直すことから始めようと思いました。それを行うために必要なのは「統計学」の知識です。僕は以前、統計学を学んでいたことがあって統計は「知って」たんです。でも、いまこの状況で統計学の知識を活用することになるとはこれっぽっちも思っていなかった。コーチがいなければ気づけなかったことです。

そして、その知識を使って中間指標の見直しを行ったところ、今まで設定していた中間指標の多くは最終指標との相関関係が低いことがわかった。そして、新たに設計しなおした指標にそってもう一度仮説⇒実装⇒検証を進めたところ、驚くほど成果が出るようになったんです。

指標の再設計を進める過程ではいくつかのハードルがあって、それもコーチングでサポートしてもらっていました。「自分自身の統計学の知識が十分でない」「指標を見直すということは今までの無駄を詳らかにするということなのでメンバーのモチベーションが下がる」「再設計の期間はABテストをストップするのでプロジェクトオーナーの理解を得なければならない」などです。こういう様々ハードルは、自分ひとりでやっていたら「現実は辛いよね」とか言って自分を納得させて、惰性でプロジェクトを進行してしまう要因になります。コーチとの対話の中では、「いや、これは目標達成のために必要なのだ。今このとき乗り越えなければならぬ!」と自分に再認識させることができるため、ひとつずつ乗り越えていくことができました。

 

副産物として、自分もメンバーに対してコーチング的な接し方ができるようになった 

千歳:もうひとつ大きかったのは、コーチングを受けていると、自分でもコーチング的なコミュニケーションがメンバーに対してできるようになっていったことです。現場でのコーチングを活用したコミュニケーションの重要性というのはここ数年で色々なところで言われています。世の中にはコーチングの研修なども多々ありますが、実際に自分がコーチをつけて体感するのが、コーチングスキルを自身も身に付けるという意味では一番早いんじゃないかなと思いました。

 

知識と経験では補えないものをコーチングが補える

 

――倉田さんがビジネスコーチとしての活動を始めたきっかけは何だったんですか?

倉田:ソニーで300を超えるプロジェクトを社内コンサルタントとして支援してきて、最適と思われる手法を展開していても、それでもやっぱりうまくいかないプロジェクトがたくさんあったんです。何が足りないんだろう?と何年も現場にいながら考えて確信したことは、プロジェクトメンバーが納得して動かないと、どれだけ最適な改善改革案を導入しても、期待した変化は起こらないということでした。特に、私のやってきたシックスシグマ※のプロジェクトというのはコスト削減改革の側面が強いので、中にいるメンバーにとっては「自分の仕事がなくなるんじゃないか?」って不安もある。そんな不安な状況では、どんなに手法が優れていてもうまくいかないんですよね。するとどうしても、「やらされてる感」が出てしまう。腑に落ちていないままプロジェクトをやっている方が多いなあと…。

 

※シックスシグマ:業務プロセスを見直して製品の品質を向上すること目的とする経営改革のフレームワーク

 

――やらされてる感を払しょくするのがコーチングだったのですね。 

倉田:そうなんです。PMやPLが心から納得してプロジェクトを運営するということが、プロジェクトの成功には本当に必要だと思います。

私がプロジェクトを支援する際、あらかじめ用意された改善のためのフレームワークに従ってソリューションの提供を行います。つまり、「改善の手法はこうすべきですよ」と言ったタスク軸でのアプローチになります。やることが明確なのはよいのですが、このアプローチには弊害がありました。PMやPLが納得しないまま活動を行うと、活動自体が形骸化してしまい、期待した改善結果が得られなくなってしまうということです。

そこで、プロジェクトリーダーには自らモチベーションを持って改善活動を行ってもらうことが重要だと思うようになりました。そのとき出会ったのがヒューマン軸でのアプローチであるコーチングだったのです。タスク軸とヒューマン軸との双方向のアプローチがあって、継続的な改善活動が定着するんじゃないかと…。

実際に現場で改善活動を推進するためのモチベーションを喚起して、もっと主体的にプロジェクトに取り組んでもらいたいと思って、コーチングの手法を取り入れるべく勉強をしました。そして、コーチの認定も取得しました。現在は管理職向けにコーチングの手法を取り入れて、その結果円滑に進められるようになったプロジェクトも増えてきたんです。

 

Web業界から不幸なプロジェクトをなくしたい

千歳:僕はWeb業界から不幸なプロジェクトをなくしたいんです。常態化した深夜残業とか、常に依頼者が怒っているハイプレッシャーな状況下で心身ともに壊れちゃう人が出てきたりとか。依頼者からしたって無駄な投資がかさみ続けてプロジェクトが継続できなくなったり、そんなプロジェクトはもう見たくないんです。そのために、もっとプロジェクトマネジメントに関する色んな情報を提供したい。でも提供するだけだったら、情報を見た人の好奇心を満たしたり、一時的な満足を得られたりはするかもしれないけど、プロジェクトが成功するようにはなかなかならないと思う。

「知っている」と「できる」の壁は大きいですから。特にプロジェクトマネージャーの場合はプロジェクトオーナーやプロジェクトメンバー、さらには複数の利害関係者という、多数の「人」に動いてもらわないといけないので、より一層難しい。一人だったら比較的簡単にやり方を変えられるかもしれませんが、複数の人が関わるプロジェクトに場合はそうはいかない。

そこを継続してフォローし続けるのがコーチング。常に現状を客観的に整理して、今何をやるべきか、誰と何を話すべきか、どの知識やリソースを使うべきかをコーチと一緒に考えていくことで、「知っている」が「できる」に変わる。そうすることで、目標達成までの最短経路を歩めるようになる。

coach4pmで得られるのは2つ。それは「知識」と「客観的視点」。その2つが得られることで確実な行動変容を起こし、結果としてプロジェクトの成功の最短ルートを歩むことができるようになる。

 

倉田:プロジェクト成功の鍵を握るのは実行する「人」です。そして、人の可能性を最大化するのがコーチングという手法なのです。coach4pmから得られるのは知識や手法ではなく、目標を達成するための「行動変容」です。行動が変わることで、確実に目標に近づくことができます。

 

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