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コーチングを受けたい人に必ず知って欲しいコーチの選び方

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coach4pmの運営スタッフはみんな、2週間に1度のコーチングを受けながら、日々Web系の制作開発案件のプロジェクトマネージャーやWebディレクターとして活動しています。

そんな私たちが考えるコーチの選び方をまとめてみました。

目次

  1. そもそも、コーチングとは
  2. コーチングを受けるメリット
  3. コーチングって何するの?
  4. コーチングの実態
  5. こんな人にオススメ
  6. コーチングのテーマ例
  7. コーチングの実際の様子
  8. それでは本題、コーチの選び方
  9. コーチングの費用は高い?
  10. コーチ選定から契約までの流れ
  11. coach4pmに寄せられるよくある質問

1.そもそも、コーチングとは

コーチングとは、専門のトレーニングを受けたコーチとの定期的なミーティングを通じて、プロジェクト目標の再確認や、目標達成に必要なリソースの洗い出し、最優先して解決しなければならない課題の抽出などを行いながら、目標達成までのスピードを早めていく手法です。

国内ではYahoo!やソニーなどが管理職向けの外部のプロコーチを導入したり、海外ではリーダー育成で有名なGE(ゼネラル・エレクトリック)がコーチングを重視したマネジメントを実践したりと、コーチングが企業の人材開発に取り入れられる事例が増えています。

 

2.コーチングを受けるメリット

コーチングを受けることでPDCAのスピードが高速になり、結果的に目標達成に早く近づけるようになります。 特に自分自身の「リーダーとしての行動」そのものに対するPDCAができるようになるのがポイントです。

ビジネスのアウトプットに対するPDCA(たとえばWebサイトのABテストなど)はうまくできていても、プロジェクトメンバーへの接し方や問題解決の方針など、自分自身の「やり方」のPDCAができている人はどれだけいるでしょうか?

自分のポリシーを持つことも重要ですが、リーダーとして成長するには自分自身の行動そのものにPDCAを回す必要があります。しかし、自分自身の行動やプロセスを客観的に振り返るのは難しいものです。コーチングは、そうした行動・プロセスを客観視し、よりよいリーダーとしての行動ができるようPDCAを回す手助けになります。

 

3.コーチングって何するの?

プロコーチとのミーティングの中で、日々の活動の振り返りと、次にやるべきことの明確化を行います。月に2回、1回約60分程度のプランが一般的です。

コーチはクライアントが持っている課題に対して「戦略的に」質問し、物事に対しての新しい視点を持つための気づきを提供します。人は、質問に対して答えようとすることで初めてその部分についての自分の考えを整理し、言語化することができるのです。

曖昧な部分があると相手にわかりやすく説明することができません。質問への回答を考える過程で、これまで「わかったつもり」になっていたことの中の「わかっていなかった部分」や「本当はこう思っていたのかもしれないという部分」に気づくのです。そのとき、新たな選択肢や解決しなければいけない課題が認識でき、次に起こすべき行動が明確になります。

また、対話の中ではオートクライン(autocrine)効果が生まれます。オートクライン効果とは、自分で話した言葉が相手に伝わると同時に、自分自身でも聞くことにより自身が話した言葉を再解釈し、新しい気づきが生まれたり考えがまとまったりすることを言います。

ポイントは、コーチングは何かを教えてもらうものではないということです。ある特定の方法論を教えてもらうコンサルティングやティーチングとは異なり、コーチは原則として聞き役に徹します。自分が既に持っているもの(知識や経験)を体系立てて整理し、自ら考え、答えを探し、実行することをサポートしてくれるパートナーなのです。

 

4.コーチングの実態

コーチングの導入が特に進んでいると言われる英国では、コーチングの導入事例がある、また今後導入の予定があるという企業が89%と、標準的な人材開発手法になっています(リーダーシップ・マネジメント研究所/ILMの調査による) 。

国内では、リクルートマネジメントソリューションズの組織行動研究所がコーチングに関するリサーチ をしています。その調査によると、コーチングを受けた経験のある管理職(課長以上)のうち、90.3%がコーチングが役に立ったと回答しています。

一方で残りの9.7%の「役に立ったコーチングを受けたことがない」という回答では、「日本のコーチは、客観性がないから受けたくない」「プロのコーチは必要だが、業務の実態を理解しているコーチは少ない」など、コーチングの重要性は認めつつも、コーチの質に問題があるという意見が目立ちました。

ここからも、コーチ選定の重要性がみてとれます。

 

5.こんな人にオススメ

前述のとおり、コーチングは何かを教えてくれるものではなく、自分の持っているものを最大限活用するためのパートナーです。ですから、知識や経験が未熟な人がコーチングを受けても、引き出しが少なく効果を感じられません。

業界知識と実務経験を兼ね備えているけれども、それでもプロジェクトが円滑に進められないケースでの受講が非常に効果を発揮します。具体的には以下のような人です。

  • プロジェクトマネージャー、プロデューサー、ディレクター、マーケター、プランナーなどでリーダー的なポジションにいる
  • 業界経験は十分に積んできたが、まだまだ担当プロジェクトにはたくさんの課題がある
  • 知識は書籍やWeb上で収集できているはずなのに、現場に活かしきれていない
  • メンバーがなかなか思うような動きをしてくれない

6.コーチングのテーマ例

コーチングでは、担当プロジェクトを目標達成に近づけるために欠けているものをテーマに設定するとよいでしょう。例えば、以下のようなテーマが最適です。

  • ビジョンメイキング
  • プロジェクトマネジメント全般
  • タイムマネジメント
  • リーダーシップ開発
  • チームビルティング
  • モチベーションマネジメント
  • アンガーマネジメント

7.コーチングの実際の様子

(ア)場所、時間、頻度

コーチングはSkype等のオンラインで行われることが一般的です。1回あたりの時間は40分~80分程度です。

(イ)当日の流れ

あらかじめ設定した時間になったら、コーチングを開始します。前回のコーチングからその日までの行動の振り返り、このセッションで解決したい課題などを明確にして、それについて話を進めましょう。

(ウ)私がコーチングを受けて感じた効果

私自身は「プロマネ」というボジションにいますが、プロマネの判断や行動でプロジェクトの成否が大きく左右されるとても重要なポジションです。プロマネの判断や行動がブレてしまうと、プロジェクト全体が右往左往してしまいます。

それにも関わらず、プロマネという立場は依頼者とメンバーの板挟みになりがちで、これではいけないと思いながらもブレてしまいがちです。問題を整理したいと思っても、相談する人がまわりにいないケースが多いのではないでしょうか。

まさに私はそんな状況に陥っていたのですが、試しに受けてみたコーチングを通じて、そんなときに客観的視点と、自分の行動にドライブをかけるモチベーションを得られました。

プロジェクトの目標達成という自分の責任を全うするために、コーチングに少しの費用を投資するというのはすごく費用対効果がいいのではと思います。誰にも言えない課題を、確実に守秘義務の守られた環境で話せる場というのも、なかなかないですしね。

8.それでは本題、コーチの選び方

(ア)ビジネスにフォーカスしているか

この記事の読者の方は、おそらくビジネスにおける目標達成や課題解決をしたいと考えられているのではないかと思います。

実はビジネスにフォーカスしたコーチングサービスを提供している会社は少数で、多くはより個人の自己実現等にフォーカスを当てています。いわゆる「ライフコーチング」というサービスがそれです。そういった会社は、自己実現には寄与するかもしれませんが、直面しているプロジェクトの目標達成や課題解決に活用するのは難しいです。

 ビジネスにコーチングを活かしたいなら、自分が属する業界での経験があり、組織論やプロジェクトマネジメント等に精通しているかどうかを確認しましょう。

 

(イ)個人で行っているか、法人として提供しているか

コーチの大半は、副業として個人事業(あるいは個人事業主登録すらしていない人も)で提供しています。しかしやはり、日々のコーチとしてのトレーニングが足りなかったり、コーチ個人のスタンスに大きく依存してしまったりとあまりお勧めできません。 

できれば、法人としてサービス提供を行っているものを選ぶと、最新の技術をしっかりと学んでいたり、日々トレーニングを積んでいたり、受講者数も多くコーチングの実績が多かったりと信頼性が高いです。

 

(ウ)コーチの資格

次に、コーチの資格を確認しましょう。コーチングは、民間資格が乱立していて、簡単な講習を受けるだけで取得できてしまうものから、数千時間の実務経験を得ないと取得できない資格まで千差万別です。また、一度取得すればよい資格と、定期的に能力試験をして更新しなければ資格が維持できないものもあります。 

コーチの保有資格はコーチを選ぶ上でのひとつの基準となりますので、十分にコーチの質を評価していると思われる代表的な資格をご紹介します。以下の3つの団体が認定する資格は、コーチング資格の中ではかなり難易度が高く、多くの訓練時間が必要な資格です。もちろん、資格を有しているからといって良いコーチであるとは限りませんが、ひとつの指標にはなるでしょう。

  • International Coach Federation(ICF)国際コーチ連盟が認定するもの
    • アソシエート認定コーチ(ACC)
    • プロフェッショナル認定コーチ(PCC)
    • マスター認定コーチ(MCC)
  • 生涯学習開発財団(株式会社コーチ・エィ)が認定するもの
    • (一財)生涯学習開発財団認定コーチ
    • (一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナル・コーチ
    • (一財)生涯学習開発財団認定マスター・コーチ
  • CTIジャパンが認定するもの
    • CPCC(Certified Professional Co-Active Coach)

 

(エ)コーチのビジネスマンとしての経験

コーチの資質として「コーチングに関する学習とトレーニングを積んでいる≒コーチングの資格を持っていること」は必要条件であり、十分条件ではありません。ビジネスの第一線で活躍してきた人が、コーチングスキルを身に付けることでより的確に目標達成に導けるというものであり、ビジネスマンとしての経験が浅い人はコーチとしての資質が十分とは言えないでしょう。最低でも20年はビジネスマンとしての経験があり、うち5年程度は管理職としての経験があった上でコーチになった人を選ぶとよいでしょう。

 

9.コーチングの費用は高い?

コーチングの費用は、1時間あたり10,000円~30,000円程度が相場です。

月2回継続で受講しようとすれば、毎月20,000円~60,000円、年間にすると24万円~72万円と、個人で支払う費用としてはちょっとお高めではあります。キャリアアップや目標達成のための他のソリューションと比較してみましょう。

 

  • MBA
    • 2年間で約400万円
  • 英会話
    • ベル○ッツのビジネス英会話の参考プランとして、マンツーマンレッスン51,300/月×12ヶ月=61万5,600円
  • 宣伝会議の講座
    • 10回程度の講座で約10万円
  • PMP取得
    • 認定講座と受験費用等をあわせて約20万円

 

こうしてみると、本気で目標達成をするためのソリューションとしてはそこまで高いものではないのかもしれません。ただ、コーチングの場合は具体的に得られるものが体験してみないとわかりにくいので、なかなか取り組むまでに心理的障壁が高いのが事実です。まずは軽い気持ちで構いませんので、無料で体験できるコーチングを受講してみてはいかがでしょうか?

 

10.コーチ選定から契約までの流れ

(ア)コーチングサービスを提供している会社を選ぶ 

コーチングサービスを提供している会社の多くは、初めての方向けに無料体験を行っています。中には最初から有料の会社もありますが、まずは無料体験を行っている会社を選ぶことをお勧めします。

残念ながら、質の低いコーチも少なくないため、最初からお金を払ってしまうのは少しリスクが大きいです。

 

また、マンツーマンのコミュニケーションを行う上で、「コーチの質」以外に「相性」というのも意識する必要があります。複数のコーチを検討する上で、検討段階から毎回費用を払っているとかなりの出費になってしまう可能性もあります。まずは気軽に体験できる無料セッションを提供している会社を選んでみましょう。対面でもSkypeでも構いません。

 

(イ)無料体験を予約する

 会社を決めたら、まずは申込みです。

あらかじめ候補日時を複数決めてから申し込むとスムーズです。

 

(ウ)予約日時までに、解決したい課題を整理しておく 

無料体験をより価値のあるものにするために、予約日時までに、達成したい目標や、解決したい課題を見直しておきましょう。コーチングは「課題を解決して目標達成するためのもの」です。達成したい目標や解決したい課題が不明確だと、コーチングで気づきを得ることはできません。

 

(エ)無料体験を受ける 

予約した日時になったら、いよいよ体験セッションです。

コーチとの相性や、コーチのスキルをよく見るようにしましょう。体験セッションで、目標達成に向けた何かしらの気づきが得られないようであれば、そのコーチとの正式な契約は見送ることをお勧めします。

 

「コーチングは成果が出るまで長期間かかるので、1回で成果を感じることは難しいですよ。」

 

ということを言われてそのまま契約に進んでしまう方がいます。

確かに、「目標達成」という成果が出るには長い時間がかかるケースもありますが、目標達成のために必要な小さなステップに分解して、「今」やるべきことを明確にするのがコーチングの役割です。

ですから、1回の体験セッションで小さくても具体的な行動変容を得られたかどうかという観点で、コーチを判断するとよいでしょう。

 

(オ)コースを決めて正式に申込を行う 

目標達成へのイメージが湧いたら、頻度や形式(対面、Skype等)を決めて正式に申込を行いましょう。オススメは、月に2回程度、Skypeでのセッションです。Skypeに慣れていないとどうしても気遅れしてしまうのですが、慣れてしまえばパソコンと通信環境さえあればどこでも受講できるので、忙しいビジネスマンでも継続して受講しやすいです。1週間に1回ですと、毎セッションで決めた目標達成するのには少し短く、1ヶ月ですと長すぎて目標達成までのスピード感が得られないので、月2回がオススメです。

 

coach4pmに寄せられるよくある質問

当社が提供しているプロジェクトマネージャー向けのコーチングプログラムによくお問合せいただく内容をご紹介します。

※あくまで、coach4pmが提供するコーチングに関する内容です。他社のコーチングサービスでは異なる場合がありますのでご注意ください。

 

Q.社費での受講を考えています。コーチングで話した内容は上司に報告されますか?

 コーチングは利害関係のない専門家と守秘義務の担保された状態で行うことに意味があります。

ですから、原則として、コーチングセッションで話した内容は上司に報告しません。
会社の方針により上司にコーチングセッションの内容を報告する必要がある場合は、受講者ご自身で報告していただきます。

但し、あらかじめ上司、本人、当社の間で報告内容を合意している場合に限り、その部分については当社から上司にコーチングの内容をご報告させていただきます。

許可なく報告することはありませんのでご安心ください。

 

おわりに

私たちがいつも肌で感じていることは、良いコーチとの出会いはビジネスパーソンとしての自分の価値を大きく高めてくれるということです。

色々なコーチと話してみて、自分に合ったコーチと出会えるといいですね!

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