プロジェクトマネジメントに酒とゴルフが重要な理由
開発や制作のプロジェクトで、 依頼側の担当者には誠意をもってきちんと説明をしたはずなのに、あとから責任者が出てきて色々ひっくり返る。
対社内・対社外を問わず、そういった事態に悩まされているプロジェクトマネージャーは多いのではないでしょうか。
依頼側の担当者の業界経験が十分でなかったり、責任者への説明能力が低かったりすることによって、どうしてもそういったことは起こってしまいます。
プロジェクトチーム側からすれば、「きちんと説明したのだからあとは依頼側の問題」と言ってしまえばそれは正論なのですが、正論を吐いたところでプロジェクトは成功しないのが現実です。
担当者は責任者とコミュニケーションをとるための媒介にすぎない
結局のところ、プロジェクトマネージャーが本質的にコミュニケーションをとらなければいけないのは依頼側の責任者であって、担当者ではないということを十分に認識しないといけません。
あくまで、担当者は責任者とコミュニケーションをとるための媒介なのです。
とは言っても、媒介であるはずの担当者が、媒介としての機能を果たしてくれない・・・。
そんなときは、責任者と直接コミュニケーションをとれる手段を探るのもプロジェクトマネージャーの重要な役割です。
大規模なプロジェクトであれば、ステアリングコミッティー*1が組織されていたりするので予め責任者とのコミュニケーションラインが確保されますが、小規模なプロジェクトではそうもいきません。
多忙な担当者は酒とゴルフでつかまえろ!
では、責任者とコミュニケーションをとるためにはどうすればいいのでしょうか?
答えは簡単です。
責任者に、話す時間をとってもらえばいいのです。
・・・そう簡単に言われても、、、
「担当者どうしでやって」と言われるし、そもそも責任者は忙しくてつかまらないし、、、。
そう、ここで、酒とゴルフがいきるんです。
酒とゴルフは、忙しい責任者と直接話すための重要な場なんです。
(お茶でも釣りでもキャンプでもなんでもいいのですが)
責任者が営業時間中につかまらないなら、営業時間外につかまえるしかない。
責任者と共通の趣味、話題をもち、プライベートな関係を築いてみてください。
そうすれば、これまでは業務時間の間でしかコミュニケーションがとれなかった関係から、いざというときは業務時間外でも連絡をとれる関係に変化するのです。
もちろん、業務時間外にも連絡をとらなければいけない状況を推奨するわけではないのですが、責任者にも気軽に連絡できるホットラインの構築というのはプロマネとして意識すべきことなのではないでしょうか。
懸念事項や課題が発生した際に、担当者への説明だけではどうしても不安がある。
そんなときに、ランチを一緒にしたり、飲みに行ったりできる関係ほど、プロジェクトを円滑に進める武器になるものはありません。
PMBOKにはこう書いてある
PMBOKにも、コミュニケーションの重要性が記載されています。
もちろん、酒を飲めとかゴルフをしろとかは書いていないのですが、重要な人を特定して、その人と継続的にコミュニケーションをとることがプロジェクトの成功には不可欠だという内容です。
PMBOKガイドの「ステークホルダーマネジメント」と「コミュニケーションマネジメント」の内容から要点を抜粋(&意訳)してみます。
- プロジェクトマネージャーの仕事の大部分は「コミュニケーション」である
- プロジェクトへの影響力が大きい人をちゃんと特定して、その人の意思決定がしっかりできるようにちゃんとコミュニケーションをとろう
- そういう人と継続的にコミュニケーションをとっておかないと、本質的なニーズや期待を把握したり、課題が発生した場合はそれに対処したりすることができなくなってしまう
- ステークホルダーがちゃんとプロジェクトに関与するように根回しするのも、プロジェクトマネージャーの役割
- 情報を伝えるのはもちろんだし、伝える情報が明確で完全であることは大前提だけど、情報が相手に正しく理解されていることを確認することところまでがコミュニケーションである
このような継続的なコミュニケーションが会議等だけで済めばもちろん理想的ではあるのですが、実際の現場では意外とキーマンとの会議を設定しにくいことがあります。
それならば、何かしら会議ではない形でキーマンとのホットラインを確保しておかなければプロマネとしての責任を果たせないということですね。
*1:プロジェクトの重要性が高い場合には、依頼側とプロジェクトチーム側の間にステアリングコミッティーと呼ばれる会議体をおくことがあります。ステアリングコミッティーとは、大規模なプロジェクトなどで利害調整や意思決定等を行なう、関係者の代表で構成される組織です。